2003年06月10日/アメリカ
ミシガン大学の研究者らは、歯周疾患で生じた破壊に対して遺伝子治療を応用することでいかに自然に、確実に、失われた組織を修復できるかの糸口をつかんだようだ。
骨形成を刺激する因子のひとつ“骨誘導たんぱく質(BMP)”と呼ばれるたんぱく質の遺伝子を、ラットに摂取した不活化ウイルスに組み込んだ研究の結果だ。詳細は、米国歯周病学会誌に掲載されている。
遺伝子をくみこまれたウイルスは、活発に形成されつつある上皮細胞内に遺伝子を送り出す。このようにして遺伝子工学により特定遺伝子を組み込まれた細胞を、歯周疾患で歯の周囲にできた骨欠損部位に移植した。結果、移植細胞は顎骨、歯根膜、さらに歯の周囲にうすく作られるセメント質を含めた歯の支持組織を再生したのだ。
<米国歯周病学会会長 ゴードン・ダグラス医師談>
BMPのような再生たんぱく質をそのまま移植しても、早期に消失してしまうことが大きな問題の1つでした。かといって、多量に移植を試みれば毒性の発現が危ぶまれることになります。
今回の新たな方法によれば、そんな心配は要らないんです。歯周病で生じた欠損の回復、失われた付着の再生にこの方法はもってこいですね。確実に修復が期待できるし、生体のもつ本来の修復機構をつかわせてもらうものですから。つまり、歯科医師が修復過程のスイッチをいれることができるんです。しかも確実に再生が期待できる方法のスイッチをね。今後、研究はさらに大きな実験動物を対象に繰り返されます。
まずは確実な成績を得ること。そしてヒトへの応用です。まだ道のりはありますが、この研究は、私たちが待ち望んでいた、本当の意味での素晴らしい成果をもたらしているんです。歯周病の欠損部修復治療に対する予知性の高い治療方法は長年模索されてきましたから。 |