ライオンは25日、唾液中のカルシウムイオンと反応して口腔内で増粘・ゲル化し、滞留する「唾液成分感応製剤」の開発に成功したと発表した。歯周病菌の巣である歯と歯茎のすきまにすき間に入り込んでゼリー化し、長時間にわたって滞留することで殺菌剤の効果を大幅に高めることができる。こうした口腔内の局所薬物配送療法(LDDS)の考え方をセルフケア剤に本格的に取り入れたのはこれが初めて。
歯周病は30代の8割がかかっているとされる国民病。同社は医薬部外品の認可を受けた後、歯間ブラシなどと組み合わせて使う仕上げ用の歯磨き剤などとして半年以内の製品化を目指す。
歯周病菌は歯と歯茎のすき間で増殖し、歯周病原因菌の集合体「バイオフィルム」と呼ばれる巣を作る。この巣には殺菌剤が浸透しにくく、細菌単独より薬剤への耐性が約1,000倍高まるといわれている。
同社の研究グループは昨年、歯磨き剤などの防腐剤として広く使われている「イソプロピルメチルフェノール」(IPMP)と呼ぶ殺菌成分がバイオフィルムに対して高い浸透殺菌作用を示すことを確認している。
ただ、口腔内は常に唾液が分泌されており、こうした薬剤を局所投与しても唾液によって濃度が低下してしまう問題があった。
そこで同社ではIPMPを効果的に作用させることを目的に、歯周ポケットなどの狭いすき間に浸透して滞留させることができる成分を探索。口腔内で粘度を高めるいくつかの成分を検討した結果、食品添加物としても使用されている「アルギン酸ナトリウム」と呼ぶ食物繊維の水溶液が有効であることを見いだした。
コンブなどの褐藻類に含まれる成分で、唾液中のカルシウムイオンと反応すると増粘してゲル化する性質をもつが、温度やpHの影響を非常に受けやすく、アルギニン酸ナトリウム自体が分解して粘度低下を起こしてしまう。
同社では独自の製剤化技術を活用し、ほかの成分と組み合わせることでこの問題を克服、安定した品質を維持できる「唾液成分感応製剤」を開発した。
口内でpH(水素イオン濃度)や温度が変動しても安定してゲル化する条件を見極め、製法を確立した。試験管などを活用した口腔内モデル実験として、水洗浄後の滞留評価を行ったが、従来の液体製剤の約2倍に当たる2時間近く、さらに従来の約2倍の濃度でIPMPを口の中に滞留できることが分かった。
今後、歯周病の患者らを対象に効果を検証する。
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