| 歯周病は歯の問題だけではなく、全身のさまざまな疾患に悪影響を及ぼすことが指摘されている。このほど米国で行われた調査で、妊婦が歯周病を治し、口腔内の衛生を保つことで、早産の危険が大幅に減ることが確認された。歯周病は歯と歯茎の間にできたポケットと呼ばれるすき間で細菌が繁殖、炎症を起こす。進行すると歯を支える骨を溶かしてしまう。歯を失う原因になるだけでなく、細菌が出すさまざまな物質が血流で全身を巡り、心臓病や血管障害、呼吸器疾患、早産、低体重児出産など多くの悪影響を及ぼすとされる。日本人の約85%が罹患するとみられているが、自覚症状が少ないため放置されがちだ。
米ノースカロライナ大などのグループは歯周病を患う妊婦109人を、歯周病治療として歯石除去をした上で日常ケアも電動歯ブラシを使うグループと、治療をせずに日常も普通の歯磨きにとどめるグループとに分けて調査した。その結果、治療したグループは歯垢内の一部の細菌や、炎症を起こす血中のある種の生理活性物質が減少。そして妊娠37週未満の早産のリスクが4分の1近くまで減少したという。
調査に携わった歯科医で、フィリップスオーラルヘルスケアのアーサー・ヘフティー副社長は「予防は治療と同じくらい重要。これから妊娠する女性は歯科医に行き、妊娠に備えた口の中の環境整備を」と訴える。元日本大医学部助教授で、東京で開業する産婦人科医の坂元秀樹・医師は「早産になりそうな妊婦を見つけることは可能だが、現状では早産の予防は困難」と話す。しかし同時に、子宮には母体からたくさんの血液が入り込んでいることを指摘。「母親に感染があると問題が子宮に集中することになる」と注意を促している。妊娠中は歯肉炎になりやすいといい、坂元医師は「早産の原因にはいろいろあるが、歯周病の治療はそのリスクを下げることになると思う」と評価する。さらに、妊婦の健康への意識を高め、妊婦が発症すると死亡することもある細菌性心内膜炎など、ほかの感染性疾患を減らす可能性もあるとしている。
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