予防歯科とは
予防歯科とはその名の通り、病気になる前に行う歯科診療です。
「歯科医院は痛みやトラブルがあれば行く」という人が多いですが、予防の観点からいえば、「痛みやトラブルを防ぐために行く」、「口の中の環境を守って、健康を考えて行く」とお考え下さい。
虫歯や歯周病などは発生してから治療するより、発生させないこと、早く見つけて初期のうちに処置する方が効率的で、痛みを感じることが少なくなりますし、費用も少なくて済みます。日本でも最近になって予防の意識は上がってきています。
予防歯科先進国「スウェーデン」と日本の比較
アメリカ 13:スウェーデン 20:日本 4
見出しの数字は、80歳の人のお口の中に残っている歯の本数を表したものです。この数字は日常的に予防の意識を持ち、歯を失わないために歯科医院に通っているかどうかを表しているとも言えます。
とはいえ、実はスウェーデンの人々もずっと昔から歯を守る意識が高かったわけではありません。30年程度前には現在の日本と同じように、歯周病患者が多く存在していましたし、年齢があがると共に歯を失うのが一般的でした。しかし、歯を失いたくない、健康に暮らしたいという意識を上げ、予防を取り入れたことによって劇的に改善したのです。
つまり同じ状態だったところから、改善を進めて成功した国と、改善を行わなかった国のサンプルとも言えます。日本も現在は予防の意識が高まってきており、当クリニックでも予防には力を入れています。
予防歯科と歯周病
歯周病は歯垢の中に繁殖する歯周病菌が炎症を起こし、歯槽骨を溶かしていく感染症の一種です。初期には自覚症状が無いことから、「サイレント ディジーズ(静かに進む病気)」とも言われます。
歯周病は進行するほど歯槽骨を溶かすので歯を支えることが困難になり、歯が脱落することもあります。現在の日本人が歯を失う原因のトップは歯周病です。近年の研究では、歯周病は口腔内だけに関連するものではなく、糖尿病や全身の疾患などにも影響していることが分かっています。
プラークコントロール
の大切さ
虫歯や歯周病は口の中の細菌が繁殖することで発生します。口腔内には多くの細菌が存在しますが、虫歯や歯周病を起こす細菌の量や種類には個人差があることが分かっていて、細菌が少ないほどリスクを低減できます。リスクをしっかり把握したうえで、細菌を減らすことをプラークコントロールと言います。プラークコントロールはセルフケアとプロフェッショナルケアの2種類から成り立っています。
セルフケア
歯周病の原因である細菌を繁殖させないようにするためには、毎日の暮らしの中で適切なブラッシングなどのセルフケアを行うことが重要です。
ただし、ただ磨けば良いというわけではなく、ポイントを知って適切に磨くことが重要です。そのためにも一度当クリニックにお越しいただき、ブラッシングの指導をお受けください。歯の磨き方にはそれぞれの人にクセがあり、磨き残しの傾向が必ずあります。また適切な磨き方ができていないと、時間をかけても効果が出にくく、磨きすぎにより歯肉を傷つけてしまうこともあります。
プロフェッショナルケア
歯科医院で歯科医師や歯科衛生士が行うケアです。歯垢や歯石を除去し、適切なブラッシングの指導も行います。
当クリニックではPMTCも行っています。PMTCは歯科衛生士によって、専用の機器を用いて行う歯のクリーニングのことです。歯や歯ぐきについた歯垢や歯石を除去するので虫歯や歯周病の予防になりますし、歯の着色も落とせるので、終わった後は爽快感もあります。プロフェッショナルケアを受けることは、口腔内がキレイになることに加えて、毎日のブラッシングのモチベーションを維持することに繋がります。
虫歯や歯周病の原因になるプラークの一部を「バイオフィルム」と呼びます。
バイオフィルムは多くの細菌が絡み合った状態で、細菌同士が中で共生できる安定した膜のようになっています。細菌はバイオフィルムになることで、口腔内だけでなく血管内や肺に侵入して全身をめぐり、動脈硬化や心臓疾患、心内膜炎、肺炎などの重篤な被害を与える可能性があります。また、糖尿病との相互関係や、早産や低体重児出産などにも関与していることも分かっています。バイオフィルムは膜状のものに守られている上に、付着力も強いため、日常のブラッシングで除去することは非常に困難です。
しかし、歯科医院で行うPMTCであればバイオフィルムを効率よく落とすことができます。
インプラント治療後も
予防が大切です
インプラントを入れた後もしっかりとしたケアを続けることが重要です。
インプラント自体は虫歯にはなりませんが、ケアを怠るとインプラント歯周炎という歯周病のような状態になり、インプラントを失うこともあります。当クリニックでの定期的なプロケアと適切なセルフケアでインプラントを守りましょう。
治療・予防プログラムの作成
虫歯や歯周病を、発症する前の潜伏期、またはごく初期の病気のうちに発見し、治療と予防をすれば、自分の歯を生涯、健康に保つ可能性が高くなります。
そこで、わたしたちは、科学的できめ細かな診断をしたうえで必要であれば、最小限の治療を行ない、予防のための目標と方法を具体的なプログラムとして作成します。
患者さんに行っていただくこと
当クリニックでは患者さんごとの「予防プログラム」を作成します。
患者さんのお口の中の状況やリスクを踏まえて作りますから、実行していただければ虫歯や歯周病の予防に繋がります。虫歯や歯周病は生活習慣によって発生、悪化する病気ですので、糖尿病などの生活習慣病と同じです。正しい知識を持って、適切なケアを行っていれば予防や、悪化を防止することができます。自分自身の健康を守る、という意識を持ってケアを実行していきましょう。当クリニックも全力でバックアップいたします。しっかり予防プログラムを続けることが理想的ですが、実行できないからといって歯科医院から離れてしまうことが一番のマイナスです。わからないこと、うまくいかないことはいつでもご相談ください。ご来院いただける限り、アドバイスやサポートを行っていきます。
予防歯科の流れ
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Step01
ご来院
ご来院されたら受付で問診票の記入をお願いします。治療についてのご要望がありましたらお伺いいたします。
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Step02
カウンセリング
痛みやお困りのこと、希望される治療内容などをしっかりお聞きして、当クリニックの方針などをお話します。緊張される方もいらっしゃいますが、できるだけリラックスしてお越しください。
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Step03
口腔内チェック
痛みなどで緊急性があれば、苦痛を除去することを優先します。それ以外であればお口の中を確認していきます。
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Step04
結果報告
検査結果を踏まえて、状況の説明や治療の提案などを行います。わかりやすさを重視しますが、不明な点があれば何でもお尋ねください。
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Step05
スケーリング&歯磨き指導
歯垢や歯石の除去や、歯磨き指導を行います。それぞれの患者さんのお口の中の状況を踏まえた指導を行いますので、適切なセルフケアが習得できます。
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Step06
定期メインテナンス
一般的には3~4ヶ月に一回のご来院をお勧めします。状態が悪い方に対しては頻度を上げることを推奨します。